診療案内
神経を残す大切さ
歯医者で行う虫歯や歯周病の治療は、患者さんにとっては「痛いから嫌だ」「怖いから嫌だ」というように考えている方も多いと思います。
しかし、歯科医師の立場からすると、患者さんに痛い思いをされることはもちろん嫌ですが、それ以上に、歯を削ったり、神経を抜くという行為で、歯の寿命を短くしてしまうことは、たいへん心苦しいことです。
なぜなら、歯の神経は一度除去されると二度と再生することはありません。つまり歯の寿命が短くなってしまいます。そして、失った歯も、再度、自然に生えることは絶対にありません。
若い時期に歯を失うことは、他の歯や顎全体への悪影響も懸念されます。「歯が無いと困る…」ことは、誰でも分かると思います。当院では、生涯にわたって皆様に健康で楽しい生活をお送りいただくためにも、できる限り神経を抜かない歯科治療に努めています。
MTAセメントとは
MTAセメントは、一言で簡単に説明をすると、歯の神経を守るためのセメントと言ったところでしょうか。MTAセメントを使うことで、神経を残す可能性が高まります。
通常は、虫歯が神経(歯髄)まで進行している場合は、神経(歯髄)を虫歯部分と共に除去するのが一般的です。しかし、MTAセメントを使った治療では、虫歯が神経まで達して、歯の神経が露出していたとしても、その部分をMTAセメントで覆うことで歯の神経を温存できる可能性が高まります。
もちろん100%保存できるわけではないですし、非適応の場合もありますが大きな一歩です。つまり、将来の歯を失うリスクを低くすることができるのです。
MTAセメントについて
当院ではMTAセメント(セラカルLC)を使用しています。生体親和性に優れた体に優しい材料です。
セラカルLCの浸透性のある親水性モノマーは、組織内液と相互移動を可能とし、ケイ酸カルシウムから、水酸化物イオンとカルシウムイオンを放出し、アルカリ環境をつくり、デンチンブリッジ(神経保存組織)の形成を促進します。
歯に接着力が高く封鎖性を有し…神経(歯髄)を保護します。
MTAセメントの特徴
当院が考えるMTAセメントの特徴は大きく3つです!
●歯を削る量は最小に、神経を残す!
MTAセメントを使った処置により、通常であれば歯の神経を取るケースでも、神経を残せる可能性があります。また、根管治療を回避することで、歯を削る量は最小限に抑えられます。
●歯の寿命が延びる!
冒頭でお伝えした通り、歯を削る量が減る、歯の神経を残すということは、歯を失うリスクが減ります。歯の神経が残っているということは、歯が生きているということです。
●今後将来の歯科治療を減らせる!
歯を失わなくて済むということは、入れ歯やインプラント、ブリッジをいった治療を行わなくて済むことに繋がります。1本でも多くの歯が残っているということは、今後将来の歯科治療を、回避していくことに繋がります。
MTAセメント治療のご案内
当院では、MTAセメントをご希望されてもされなくても、基本、皆様の歯をできる限り削らない、神経を抜かない方針で診療にあたっております。お口の中のお悩みについては、まずはご相談ください。
お口の中を診させて頂いてから、治療法はご案内します。なお、ホームページを見て、MTAセメント治療をご希望という方は、診療の際お申し出ください。適応するかどうかを確認させていただきます。
■治療にあたっての注意点
- 症例によってはできないこともあります
MTAにより神経を保護できるのは、歯の神経が感染していない状態の虫歯が適応症となります。何もしなくてもズキズキ痛んでいたり、神経がすでに死んでいたりする状態だと適応できません。適応かどうかは、実際に診療したうえで判断していきます。
- 神経を保存できない場合もあります
MTAによって、必ず神経が保存できるというわけではありません。患者さまの歯の状態によっては、治療後に神経の炎症が起きて、神経を抜かなければならないケースもあります。
- 治療直後は少しみることがあります
MTAの治療の直後は、処置の刺激により一時的に歯が過敏になり、歯が沁みたりします。時間が経つにつれて落ち着いてきます。
- 保険適用外の治療となります
MTAによる神経を抜かない治療は、保険適用外となります
■MTAセメント治療の料金(税込)
3,300円
※2022年1月時点の価格です。価格は変動することがあります。